ウイスキーについて その2

お酒の知識


前回は五大ウイスキーについてお話ししました。

世界のウイスキーを牽引するのが五大ウイスキーですが、もちろんウイスキーはそれだけではありません。

【ヨーロッパ】

フランス、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オーストリア、ベルギー、スイス、スイス、デンマーク、チェコ、ポーランド、スペイン、英国領マン島

【南アメリカ】

ブラジル、ウルグアイ

【オセアニア】

オーストラリア、ニュージーランド

【アジア】

インド、パキスタン、トルコ、タイ、ミャンマー、台湾

【アフリカ】

ケニア、南アフリカ

と、世界各地で作られています。

近年、この中から五大ウイスキーの牙城を脅かす存在が生まれてきました。

台湾とインドです。

台湾
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台湾は何と言っても「カバラン」が有名です。バーテンダーで知らぬものはいないでしょう。基本的にウイスキーは冷涼で湿潤な気候での生産が適していると言われてきました。それでスコットランドやアイルランド、カナダ、日本の山沿いの地域で発展し、アメリカンウイスキーだけは例外的に昼夜の寒暖差を利用したダイナミックな熟成が行われてきました(そしてバーボンは他のウイスキーと原料の組成を大きく異にするためあまり比較されることもありません)。

 ところが台湾は亜熱帯。確かに標高の高い場所に建造されたとは言え、やはり気温は高いようです。だからやはりスコッチタイプのウイスキーの製造には向かないのではないかと言われてきましたが、そこは2008年操業開始の蒸留所。最新設備と技術を駆使して貯蔵庫の徹底した温度管理を行うことでその問題を克服するばかりか、「気温が高いと熟成が早く進む」ということを逆手にとって「高品質な酒を短いスパンで提供する」ことに成功しています。これは「熟成年数が高いものが高級品」が常識であったウイスキーにおいては革新的なことと言えます。

 そうして2010年以降、爆発的に世界に広まり、ウイスキー界の数々の賞を受賞するようになりました。

インド

1 Officer’s Choice
2 McDowell’s No.1 
3 Johnnie Walker
4 Imperial Blue
5 Royal Stag
6 Jack Daniel’s
7 Old Tavern
8 Original Choice
9 Bagpiper
10 Jim Beam

さて何のランキングでしょう?

これは2015年の「世界のウイスキー売り上げランキング」の上位10ブランドです。

No.1スコッチのジョニーウォーカーが3位、No.1アメリカンウイスキーのジャックダニエルが6位、No.1バーボンのジムビームが10位。

・・・それ以外は全てインドのウイスキーです。

しかも1位はダントツです。1位のオフィサーズチョイスが3470万ケースなのに対し、3位のジョニーウォーカーは1880万ケースほど。約2倍近い開きがあります。

 トップ10のうち、ダントツ1位を含む実に7ブランドがインドのウイスキーなのです。

それだけでインドのウイスキーの勢いがわかるというものでしょう。

しかしその反面、これだけの売り上げがあるのに日本国内で見かけることはありません。それもそのはず、これらのインディアンウイスキーのほとんどは国内用に生産、そして消費されているのです。さすが人口10億人の国。

 インディアンウイスキーで特筆すべきはシングルモルト「アムルット」と「ポールジョン」。ランキングには入っていませんが、別格の品質であり、これらは日本国内にも輸入されています。どちらかというとこれらの方が業界的には代表格とされています。

 世界市場にほとんど出回っていないことと、多くの銘柄は五大ウイスキーと比肩しうる品質ではないとの評価のため、たとえNo.1売り上げと言えど世界のウイスキーの覇権を握るという感じにはなっていませんが、これから世界の市場の評価に耐えうる品質を確保し、そしてそれを維持するような生産方法が確立された時、ウイスキー界の勢力図はあっという間に様変わりするのではないでしょうか。

今回は世界各地のウイスキー、特に台湾とインドのウイスキーについてお話ししました。
新しい技術や生産者は日進月歩で生まれていきますので、これからもウイスキー界の勢力図からは目が離せませんね。

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