よいバーとは?

バー攻略法

さてこれまで色々なスタイルのバーを見てきましたが、ところで、「よいバー」とはどういうところなのでしょうか。

高級なところなのか。

逆にコスパの良いところなのか。

よいお酒、高いお酒、レアなお酒が置いてあるところなのか。

カクテルを豊富に出せるところなのか。

女性客の多いところなのか。

清潔感のあるところなのか。

答えはひとつではありません。

人によって何を良しとするかは十人十色だからです。

しかし、一言で言うならば「また行きたくなるバー」がよいバーの条件と言えます。

最初にその店に行った時にまた来てみようと思わせる「何か」がある。
それは上に羅列したものかもしれませんし、そうでないかもしれません。たまたまかもしれません。
 そこに絶対的な答えがあればバーの経営者はそれを何が何でも実践するでしょう(笑)

 そしてバーというものは一度でそのお店の良さがわかるものではありません。
次に来店したときに、自分のことや前回オーダーしたものを覚えてくれている。
前回と同じお客様がいらして、あ、先日はどうもとなったりする。あるいは違う顔ぶれで、また違った雰囲気で悪くない。
 良い店は通えば通うほど、自分とお店(に来る人)との色んな面での相互理解が深まっていく。

 それらを決める大きな要因が《バーテンダーの人柄》です。全てではありませんがそれにかなり左右されます。その店に足を踏み入れた人のうち、どういう方々がどのくらい常連さんやリピーターとして残っているのか。

 「類は友を呼ぶ」という言葉がありますが、まさにその通りになります。

 バーテンダーが常連さんを生み、常連さんが常連さんを生み、そうしたお客様によってまたバーテンダーが育てられ、時には引っ越しやライフステージの変化などで離れてしまうお客様を見送りつつ、また次第に新たな客層が生まれる。バーという空間はそうした新陳代謝を経ながら成長していきます。そうして成長しながらも移り行く中で、やはり核になるのがバーテンダーという訳です。なんといってもその空間にほぼ毎日いるわけですからね。


 その上で、これは私見ではありますが、私にとっての良いバーとは、「ここのバーの人達の仲間に入りたいな」と思えるバーです。そして、お客様から大事にされているバーです。色んな人が離散集合するところではありますが、そこに無形の秩序のようなものがある。「自浄作用」と言い換えてもいいかもしれません。

 お酒が入るので、どうしても盛り上がりすぎになることがあります。そういったときに、その輪に入ってないお客様を気遣って輪に入れたり、逆に少し静かにしようか、となったりします。

 常連さん同士の内輪の会話をしていたところに(その場の常連さんにとって)見慣れないお客様がいらした時には、会話を続けつつも、バーテンダーとの会話を片耳で聞いて初めてのお客様なのか、どんな雰囲気の方なのか、話かけて良いものか、それはどのタイミングなのか思案していたりします。

 その場の雰囲気を壊すようなお客様の来店があったときには、そこで妙な口出しはせず、バーテンダーの采配に任せるということもあります。そういう場合はあくまで店主が仕切るもの、とバーテンダーの立場を尊重してくれている訳です。その采配が気に入らなかったり、その日はなんかダメだなと思ったら黙って席を立つ、ということもあります。

 それらは全て、お店を尊重しているということが基本にあります。
 ここでいうお店とは=お店の経営者ではありません。お店の経営者やそこで働くバーテンダーを中心とした、常連客、リピーター、新規客全てで成る空間、コミュニティー。つまり小さなひとつの社会です。
 そこが好きだから大事にしたい、とそこにいる新規客を除く全員が思っている。それを新規客が何となくでも感じ取り、「ここはいい店なんだな」「自分もそうありたいな」と次第になるのだと思います。

 

 お酒や料理が美味しいというのはもちろん全ての基本だと思います。

 飲食店だからお酒や料理は値段相応のものを出すべきというのもありますが、それ以上に、お客様からの信頼を得るために、満足していただけるものを提供することが必要です。原価や価格設定、使える設備、人員など、お店には様々な制約がつきものですが、その中で如何に美味しいものを提供するか。それに対する真摯な努力を怠る人間をお客様が大事にしてくれるかというと、答えは否と言っていいでしょう。「お店=コミュニティ」を尊重するのが大事ですが、だからこそコミュニティの中心人物たる人間は尊重されるに値するよう努力する必要があるということです。

 そして、誰かにそのお店を紹介したり、連れて行こうとするときに多く言うのは「あそこのバーは〇〇が美味しいんだよ」です。恐らく「常連さんがいい人たちなんだよ」「マスターがいい人なんだよ」はそれが事実だとしても誘い文句として多くはないですよね?

 まあ困ったことに一番多いのは単純に「あそこのバー、いい店だよ」という曖昧なものだと思いますが…それは上記の色んな要素を総じてそういう表現になっているのでしょう。

 残念ながら、これまでの話はそのバーに足を一歩踏み入れてからの話であり、まだ訪れたことのないバーに対して良いかどうかの判断というのはそうそうできるものではありません。ネットの口コミなどもありますが、その評価はその人だけのものであり、なかなか鵜呑みにできるものではありません。良い評価にせよ悪い評価にせよ、もしかしたらあなたとは全く価値観の違う人が書いたものかもしれないし、絶対友達になれないなという人が書いたものかもしれません。そして先にも書きましたが、一度だけで良さがわかるというものでもありません。

 (※但しネットの口コミが参考になるのは「異口同音の悪い評価が目立っている場合」だと個人的には思います)

 まずは価格帯だけできれば確認して、飛び込んでみるのが良いと思います。

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