ボトラーズの項でカスクストレングスが出てきましたので、こちらについても説明を致します。
カスク=樽
ストレングス=強さ
ということで、日本語では「樽出し強度」などとも訳されたりします。
それでは樽出し強度とはなんぞや、ということになるんですが、皆さんはウイスキーというとアルコール度数がどのくらいのものを思い浮かべるでしょうか。
よくわからない方は「とにかく強い!」という感じでしょうし、少し知っている方で40度とか43度を思い浮かべる方が多いでしょう。バーボンですと45度や50.5度も多いです。
これらは各蒸留所やボトラーズがその国の法律を守りつつ(最低度数が決められている場合があります)、それぞれの目指す味わいに応じたアルコール度数に調整しているのです。
つまり、上記のような度数の一般的な製品は、樽からボトルにウイスキーを移す前に、【水で割っている】ということです。こちらも法律や各蒸留所の各銘柄で定められているルールに準じますが、樽に入った状態でのアルコール度数は約57°〜64°程度。カスクストレングスとは、加水して調整することなく、このアルコール度数のままボトリングされた製品を言います。強いです笑
もちろん強いものを強いものとしてそのまま楽しむのも良いのですが、おすすめはストレートを加水しながら飲む方法です(場合によっては数滴といった単位で)。これはカスクストレングスでなくてもおすすめの飲み方なのですが、カスクストレングスの場合は特に、です。
一般にウイスキーはストレートのままよりも、少しだけ水を加えた方が香りが立ち、そのウイスキーの個性が際立つと言われています。加える水の量はウイスキーと同じ量まで(同じ量だとトワイスアップという飲み方です)。それ以上だと「水割り」のようになってしまい、本来の味わいを楽しむには少し水が多すぎ、ということになっていまいます(水割りが好きな方はそれでも全然OKです)。
カスクストレングスの場合ですと、水を足していってもアルコールの強さ(=コシ)が保たれますので、足してゆくごとになんか物足りなくなっていくということがありません。強さを和らげ、同時に強さを楽しむことのできる飲み方ですので是非お試しください。バーでお願いすれば「お、知ってんなコイツ・・・」と思われるかもしれません。
※余談ですが、蒸留が終わり、樽に詰められる前にも加水が行われます。スコッチですと蒸留後の液体は94.8°以下と定められていますが、樽に詰める時の度数は大体64°前後が多いです。細かいところは各蒸留所の方針によって様々ですが、そのくらいの度数がもっとも樽成分がお酒に取り込まれやすいと言われています。
参考文献
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