実は井山計一さんの「ケルン」を出たあと、調子に乗ってもう一軒いったので結構な酔っ払い状態で宿に戻り、すぐ就寝。
翌朝きちんと起きたはいいけれども風呂に入っていなかったので宿の自慢の薬草風呂へドボン!シャキッとした気分になってからチェックアウト。
目指すは福島県は郡山市。260kmの道のり。
月山(がっさん)からの一コマ。
その日は5月半ばにも関わらず東日本各地で30℃を超える日で、日差しとの戦いが大変でしたけれども(冷房つけててもフロントガラスを通しての直射日光は熱い、眠くなる)、どうにか無事到着。
笹の川酒造の運営する、「安積蒸留所」!
実は見学は水曜日の14時からと決められていて、そこに合わせての旅程となりました。私を含めお酒に関する仕事をしている人ならそれ以外の時間でも事前に申し出れば大丈夫とのことでしたが、私一人のために時間を割いてもらうことになったらそれは少し申し訳ないので、蒸留所側でルーティンとして設定している水曜日の14時にお願いをしたのでした。
・・・結局見学者は私一人だけだったんですけど(笑)
案内をしていただいたのは、なんと笹の川酒造の代表取締役専務の山口さん。
ひとり応接室でまずは笹の川酒造の歴史や、今回改めてウイスキーを作ることになった経緯をレクチャーしていただきます(1923年からウイスキーは作っている)。
そしていよいよ蒸留設備の見学に。
蒸留所の入り口。雑誌とかでよくみてたやつだ!
中に入ると・・・
出入り口脇にすぐあるのが粉砕塔。ここれ仕入れて来た乾燥麦芽を粉砕して粉状にします。
次に糖化槽。ここで粉状になった麦芽に水を加えて麦汁に。
ステンレス製発酵槽。
蒸留所のシンボル、ポットスチル。三宅製作所製。
さらっと写真載せましたが、ここまでポットスチル他、蒸留設備に近づいて見ることができる場所はそうそう存在しません!サントリーやニッカなどの大手の蒸留所に見学に行ったことのある方はご存知かもしれませんが、大体設備の周りには柵やガラスがあって、お客さんはある程度の距離をおいてしか見られないようになっています。
それがどうでしょう。私が訪れた時に初留釜が稼働していまして周囲にも熱気が立ち込めていたのですが、なんなら釜を触って火傷できるくらいでした。
写真にも載せませしたが、空いている釜(これは再留釜)の中身を直に覗けるなんてことも、そうそうあるものではありません。
初留釜で蒸留された1回目の蒸留液(ローワイン)が右側の蛇口から続々と流れ出て来ます。
そして、ひとつの空間にすべての蒸留設備が備わっているのも初めての経験でした。
まるでガレージの中ですべての工程を手作業で行っているような、まさにクラフト蒸留所といったところです。
つぎに移動したのは樽の貯蔵庫。
アメリカンオークのバーボン樽を中心に、ワイン樽、そしてミズナラ製樽もちらほら使っているとのこと。現状はいろんな原種を作り分けてバラエティ豊かなラインナップを揃えて市場のニーズに応えられるようにしていくようです。
そしてやはり注目してしまうのがこちら。
笹の川酒造はイチローズモルトの前身、東亜酒造が羽生蒸留所を閉鎖した際に一時その樽を預かっていたことでも有名なのですが、その頃の樽がまだ残っているそうで。
この樽だけでなく、後ろ(写真右側)にもいくつも樽が並んでいたので、
「見る人が見たら、これ、宝の山じゃないですか?」と聞いたところ、
「どれくらい中身が残っているかわかりませんが(※)、全部売ったらもしかしたら蒸留所がもう一軒建つかもしれませんね〜(笑)」とのこと。
(※)ウイスキーを何年も樽熟成していると、自然蒸発によって少しずつ量が減っていく。これを天使の分け前と呼びます。
熟成庫をあとにして向かったのはお待ちかね試飲&ショップコーナー。
お待ちかねとはいったものの今回は車で来ているので飲めましぇん・・・わかっていたけど残念無念。
おいてある商品は笹の川酒造の日本酒・焼酎など既存のラインナップのほか、お土産サイズのニューポット(蒸留したてで熟成をしていない無色透明の蒸留酒。国によってはウイスキーと呼べない)だったり、フルサイズで数ヶ月熟成のものがあります。
飲めないのでそれぞれの香りを楽しませてもらったところで、代表取締役・山口さんによるトップセールス発動。
・・・
・・・
お買い上げ〜(笑)
とても貴重な一本を手に入れました。ぐふふふふ♪
ところで今回の見学者は私だけだったのですが、さすがにまだ見学者はあまり多くないのかと伺ったところ、普段はそんなことはなく多数の見学の方で賑わっているのだとか。そもそもいろんな方がいろんな曜日にきて山口さんがぜんぜん通常業務ができないから毎週水曜14時に固定したそうです(笑)
ということは私はまたまたラッキーだったようです。マンツーマンですからね!
大勢の中では貴重なボトルのお買い上げもできなかったかもしれません。
さてこれにて1泊2日の蒸留所&聖地ケルン巡りは終了。
車移動はなかなか大変でしたが、非常に良い経験となりました。
なかなか機会が限られますが、こういう蒸留所巡りや旅日記はどうにかシリーズ化していきたいものだと考えております。
ではこれにて!