バーとお酒の入門講座

バー初心者の方を対象に、バーならではのマナーや楽しみ方、お酒に関する基本や雑学、豆知識を書いていきたいと思います。バーに興味はあるけれど、何だか最初の一歩が踏み出せない、そういう方の一助になれば幸いです。

就活生よ、Barへ行け!

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 Office365を知らない面接官・・・だと?

現行のルールでは3月に会社説明会、6月に面接が解禁ということで(ホントかな・・・)、現在はいわゆる就職活動の真っ最中ということのようです。

 

私としては遥か昔のことですが、まああまり真面目にはやらなかったですね・・・w
だって入りたい会社はほとんど新卒採用をしていなかったので。
他に入りたい会社はエントリーシートの時点で海外生活経験の有無を問うてくるようなものだったのでそりゃ無理だということになり(これがその後の渡豪に大きく影響する)諦め、オーストラリアから帰国後紆余曲折を経てバーテンダーとなり今では天職と言い切れるまでになりました(ただ学生時代から、さらに自覚はないけれども生まれ育った環境からしてその片鱗はあったようです)。その話はいつかするとして今回のお話はこんなツイートを目にしたのが始まり。

 

 

まあ確かに「は?」となる内容ではあります。面接官がOffice365にWordが含まれることを知らないなんて。わざとそういう対応をして反応をみたのか勘ぐりたくなるくらい、ちょっとびっくりです。

 

それに対するリプライは、案の定、

 

 とまあボロクソな訳です。

 

Office365云々よりも大事なこと

 

わかる。気持ちはわかる。
会社を代表して学生と面接をし、自分たちの将来を左右しかねない決定をする役割の人間が、そんなことも知らないなんて!
と叫びたくなる気持ちはわかります。

 

しかし、そういうものなのです。面接が、じゃなくて世の中が。

 

 

上記のツイートに反論もいただきましたが、多くの方の視点はOffice365にwordが入っていることを知らない奴が面接官なんてありえなくない?ということです。

 

確かにちょっと恥ずかしいよな〜とは思いますが、大した問題ではありません。

 

 面接官の方も、ただの大人です。採用のプロかもしれませんし、そうでないかもしれません。おそらく一年通して毎日のように面接をしているわけではありません。

 ただなぜこの議論が生まれたかを一連のツイートの後にも考えましたが、それは

「面接官を勝手に神格化しているのではないか?」

ということです。自分たちを採ったり切ったりする人間だから、未熟な学生である自分たちが当然のように知っていることは面接官もより当然のように知っている筈だ、そうでなければおかしい、と「勝手に思い込んでいる」。

 実際のところはそんなことはないのです。学校のテストで言えば、今回の面接官は最初に出てくる簡単な知識問題を間違えて2点失っただけ。確かに「えwそこ間違えんの??w」というレベルの問題。しかしそれだけです。知識なんてすぐに陳腐化しますし。社会人としては後に出てくる応用問題を解く力の方が余程大事です。人の採用なんてまさに応用問題。それなのに、ツイッターのリプ欄では

「うわー!こいつこんな簡単な知識問題間違ってやんの!こんなバカが面接官なんてこの会社大丈夫??」

ということを98点の可能性もあるひとに匿名でぶつけることに終始していて、全体像が見えていないように思えました。(※もちろん実際に98点ということはないと思います。しかし80点くらいかもしれません)

同質集団を抜け出せ

 自分たちが知っているのが当たり前だということを目上の相手が知らないなんてことはザラにあります。そういう状況に慣れていないことが一番の問題。

 なのでこの一番最初のネタ元となったツイートを見たときに「原因は普段から別世代との交流がないことだな」と読み取りました。

  「面接の方と言葉の使い方や認識に壁がある感じ」これが最重要ポイントだと感じました。たまたまこの面接官が変なひとだった可能性も否定はできませんが、面接官、あるいは社会人は必ずしも使う言葉を学生に合わせてはくれません。厄介なのは、一番身近な社会人であるだろう大学の教職員やアルバイト先の社員等は学生に囲まれて仕事をする環境上、学生に合わせることが多いということです。また、何度も会ううちに多少なりともあった「壁」はなくなっていきます。

 

 一概に言うことはできないのですが、学生、特に大学までの人生というのは「同質集団」での生活になりがちです。同じような学力レベル、同じような運動能力、同じような趣味嗜好、同じような外見レベル、同じような経済感覚・・・そして「気の合う人」。

 アルバイトをするにしても居酒屋などの飲食店をはじめとして、「自分と同じような人間」が集まるところで働きがちですし、その中でもさらに気の合う人と仲良くなるのでしょう。

 これが悪いわけではありませんし、充実した学生生活には必要だとも思いますが、こればかりでは社会に出るときには不利になります。

 

 なぜか。限られた世界・世代での価値観が「常識」になってしまうからです。

 

 就職活動というのは端的に言えばその「常識」が通用しない世界の門を叩くことです。一般的な学生の間で共有される「常識」と、社会で通用しうる考え方はまた別のものです。そして「社会で通用しうる考え方」とは?という問いに対して一定の答えを求めるならば、それこそが「社会に通用しない考え方」と言えるでしょう。正解のないことに対しどう処して、どう正解と思えるものを形作っていくのか。

  そういう「なんだそりゃ?」ということに直面したときにどう振る舞うか。面接においてはそれが問われることも数多くあるように思います。

 

 この記事をダラダラと書いている間に、東京大学入学式が行われ、上野千鶴子氏の祝辞が話題になりました。フェミニズムの問題を引用したことで賛否両論のようですが、そういった主義思想に関わらず重要なのはやはり終盤のこの部分でしょう。

 あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

(中略)

あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

 

 これは新入生に向けての祝辞でしたが、いちはやく「学生気分」という名の同質集団から抜け出すことが就活における、あるいは学生生活における重要なミッションと言えそうです。

結論。就活生よ、Barへ行け。

 学生気分から抜け出すために、Barへ行け。

と、私は声を大にして叫びたいと思います。
飛び級という例外を除けば最短で大学二年の誕生日から、お酒を飲むことができる年齢です。
そろそろ学生ノリの宴会にも飽きてくるころでしょう。大学生活にも慣れて、でも就活やら卒業はもうちょっと先ということでダレている頃かもしれません。その辺りが、学生気分から抜け出す準備をするのに最適なタイミングです。

 学生気分から抜け出す方法のひとつに「世界を縦に広げる」というものがあります。
学生であってもバイト先や他大学の人と仲良くなることで世界が横に広がることはあるでしょう。しかし縦方向となると、せいぜいが大学の院生や留年を重ねた20代後半であるのがほとんどです。

 そこでBarの扉を叩いてみてください。

知らない大人がたくさんいます。そこへ行かなければ出会わなかったであろう人に出会えます。男女・年齢問わず大企業の役職者、オーナー社長、フリーランス、サラリーマン、意識の高い学生、主婦、フリーター、ニート、引退して無職、などなど・・・。

 属性をあげてもまだまだありますし、個人個人で言えば本当に多種多様な方がいらっしゃいます。

 そういった多種多様でかつ「精神的・年齢的に距離感や壁を感じる人」とのコミュニケーションに慣れて欲しいのです。Barにいらっしゃるようなまっとうな大人の方であれば「若者となんて何喋ったらよいかわからない」ということはないものです。(※口ではそのように言うかもしれませんが・・・実際はそうでもないはずです)そして重要なのはそんな「まっとうな方」でも変なところ、変な欠点はある、ということを知っていただきたく思います。これが今回のお話の核と言えるでしょう。

 なんかこの人感じ悪いな、話しづらいなと思った人が意外と社会的地位が高かったり、凄く尊敬できる人格と肩書きを持った人に信じられないような弱点があったり。色んな人の、様々な側面が見えるものです。

 

  敷居が高いと思う人もいるでしょう。
それでいいのです。同質集団から抜け出すことは、居心地の良いホームからアウェイに行くということですから。最初は居心地も良くないかもしれません。しかし居心地の悪さは、それこそお金を払ってでも経験するべき瞬間があります。
 長い間ホームでしか戦って来なかった人間がいきなり就活というアウェイゲームを強いられるのですから。

www.vagrantbartender.com

 最初は無理にコミュニケーションを取らなくてもよいです。黙って他のお客様とバーテンダーさん、お客様同士の会話をそれとなく聞き流すだけでも発見はあるはずです。

 そこから少しずつ、バーテンダーさんを通して他の方とも話すようになれればよいのです。

 Barというとなかなか金額が高いお店というイメージもあるでしょうが、そこは下調べをしてみて、これなら大丈夫そうというお店に、ひとり、あるいは多くても二人連れで行って見ましょう。三人以上となると、やはりただの同質学生気分飲み会になる可能性ですので。学生があまり来ないお店なら比較的安価でカジュアルなバーでも良いでしょう。心配なら学生である旨や予算を告げても全く問題ありません。

 今日お財布にこれしかないからやばそうだったらストップかけてー、という大人の方、もちろん多数派ではないですが数としては結構いますので笑

 逆に1〜2名の少人数で訪れた学生を歓迎しないお店はあまりいいお店ではないと私は思います。

 お店選びやお店での振る舞い方はぜひこのブログを参考にしていただきたいと思います。

 

 

(蛇足)  ちなみに私が以前働いていたお店には少数派ながら多くの学生さんがいらしてました。就活の相談なども大企業で面接経験のある役職者の方にしてたりもしました。そこで誰しもが食らうのが「どこの大学だろうが新入社員に即戦力なんて期待してないから大丈夫」という言葉です。これ、大ヒントだと思うんですがねえ。