バーとお酒の入門講座

バー初心者の方を対象に、バーならではのマナーや楽しみ方、お酒に関する基本や雑学、豆知識を書いていきたいと思います。バーに興味はあるけれど、何だか最初の一歩が踏み出せない、そういう方の一助になれば幸いです。

ウイスキー用語集:「ボトラーズ」(独立瓶詰業者)とは?

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ボトラーズとは

 スコッチウイスキーの製品には大きく分けて2通りあり、蒸留所やそのオーナー企業が瓶詰めして製品化する「オフィシャルボトル」と呼ばれるものと、蒸留所とは直接関係のない企業が樽を買い取って瓶詰めする「ボトラーズボトル」(ボトラーズブランド)というものがあります。

 20世紀以前にウイスキーがまだ世界にはあまり知られず、スコットランドの地酒的な存在だった頃は、今日のシンングルモルトのオフィシャルボトルのように瓶詰めして卸されるのではなく、樽ごとブレンド業者や食料品店に買い取られ、それぞれで量り売りやブレンド、そしてボトリングをするのが通例でした。それがボトラーズブランドの始まりとされています。

 ボトラーズブランドの特徴は、

 ①オフィシャルボトルにない熟成年数

 ②オフィシャルボトルにないブレンド

 ③オフィシャルボトルにない後熟

 ④オフィシャルボトルにないアルコール度数(=加水の量、有無)

 ⑤オフィシャルボトルが販売終了した銘柄でもストックが残っている場合がある

 

 といったところでしょうか。特に⑤のケースは貴重といえます。

 

  とはいえ近年は蒸留所を所有する企業が自社ブランドを厳格に管理する傾向にあるため、蒸留所の名前をボトラーズに使わせないケースも増えています。原酒の樽売りをする場合でも、蒸留所の名前を使わせない契約を行うケースや、他の蒸留所の原酒をほんの少量混ぜて売ることでシングルモルトを名乗らせない方法をとっている場合もあります。

 一見閉鎖的なようにも思えますが、これが逆に面白みとなっている点は無視できません。ボトラーズはもとの蒸留所名を伏せて謎めいたボトルとして売り出したり(アイリーク、フィンラガン、スモークヘッドなどアイラモルトに多い)、「ザ・ファイナルドロップ」シリーズのように99:1の割合のブレンデッドモルトを作り話題となることもあります。

 

主なボトラーズ

・ゴードン&マクファイル(Gordon & MacPhail, Ltd)

通称GM。もともとはエルギンの高級食料品店。取り扱い商品に自社のブランドを使い、20世紀初頭よりシングルモルトを販売していました(シングルモルトの先駆けと言われるグレンフィディックがシングルモルトを大々的に世界市場に出したのが1960年代)。

GM社は老舗ボトラーズの代表格として知られ、1993年にはフォレスのベンローマック蒸留所を買収し、蒸留所のオーナーにもなっています。

・ブラックアダー・インターナショナル(Blackadder International, Ltd)

 1995年にロビン・トゥチェック氏がジョン・ラモンド氏とともに創業。ウイスキーの香りや旨味のもととなる樽からの成分を、熟成を終えた樽出しのままの状態で製品にするという信念により、ノンチル、ノンカラーリング、カスクストレングスの条件を徹底しています。ボトリングに際して樽材の破片さえも取り除くことなく製品化する「無濾過」の徹底ぶりが、一部愛好家の支持を受けています。

・ダグラスレイン(Douglas Laing & Co.Ltd)

 1948年創業。ラングサイド、キング・オブ・スコッツなどのブレンデッド商品を長く製造してきましたが、アルコール度数を50%に統一したオールド・モルト・カスク(OMC)シリーズを発表した1998年からボトラーズに参入しています。近年では「ビッグピート」「ロックオイスター」など、スコッチ生産地のエリア別に選定された蒸留所の原酒で作るブレンデッドモルトのシリーズが有名でしょうか。

・ベリー・ブラザーズ&ラッド(Berry Bros & Rudd)

 1698年創業の老舗ワイン&スピリッツ商で、ブレンデッドスコッチの「カティサーク」の製造元。「ブルー・ハンガー」や「ベリーズ・ベスト」も手がけている。スコッチのボトラーズとしては2002年より発売を開始していて、長期熟成商品が好評です。

 

以上、私が独断と偏見で選んだ、代表的なボトラーズです。他にもシグナトリーですとかイアンマクロードですとか、あげればもっともっとありますが、私の好み&バーで良く目にするという観点から選びました。