Cardhu カードゥ
エリア: スペイサイド スペイ川中・下流域
創設年: 1824年
所有者: ディアジオ社
仕込み水: マノックヒルの泉
ゲール語で「黒い岩」という意味を持つ名前のカードゥ蒸留所は1811年、ジョン・カミングという男が農業のかたわらウイスキーづくりを始めたことが創業のきっかけです。
しかし当時はまだウイスキーづくりに重税が課せられ密造酒が横行していた時代。ときおり密造や不正、脱税がないかどうかを調査する査察団が訪れてきます。するとこのジョン・カミングの妻ヘレンは彼らに宿を提供し、食事のテーブルについている隙に納屋から合図の旗を掲げて近隣の密造者仲間に査察団の来訪を知らせていたと言われています。
近隣の仲間たちから「肝っ玉母さん」と呼ばれるほどのヘレンの活躍でしたが、それにもかかわらず、夫カミングは1824年までに3度、密造容疑で検挙されています。しかし同年、税制と時代の変化もあり、政府公認蒸留所として再スタート、本格的にウイスキー作りに乗り出しました。
さらに時が経ち、カミングの息子ルイスの妻エリザベスはルイスの死後に蒸留所を受け継ぐと、類い稀なる経営手腕を発揮、19世紀後半にはカードゥの名声を不動のものにしました。当時「ウイスキー産業の女王」とまで言われていたようです。
その成功によって大企業の注目するところとなり、1893年にジョン・ウォーカー&サンズ社が買収。以来ジョニーウォーカーのメイン原酒として現在まで生産がされています。エリザベスの孫ロナルドはのちにジョン・ウォーカー&サンズ社の会長、さらに親会社のDCL社の会長も務めるなどして貴族に叙せられ、ひとつの頂点を極めた人物になりました。
ライトで華やか、まろやかな味わいが魅力で、とくにスペインで人気が高いです。
参考文献