バーとお酒の入門講座

バー初心者の方を対象に、バーならではのマナーや楽しみ方、お酒に関する基本や雑学、豆知識を書いていきたいと思います。バーに興味はあるけれど、何だか最初の一歩が踏み出せない、そういう方の一助になれば幸いです。

スペイサイド ㉗ グレンフィディック蒸留所

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Glenfiddich グレンフィディック

エリア: スペイサイド ダフタウン地区
創設年: 1887年
所有者: ウイリアム・グラント&サンズ社
仕込み水: ロビー・デューの泉

 

 27番目にしてついにやってきました、超メジャー級の蒸留所。スペイサイド 、そしてシングルモルト、あるいはスコッチを代表する銘柄のひとつかもしれません。

 創業者は今も社名に残るウイリアム・グラント。彼はダフタウンの仕立屋の息子として生まれ、スペイサイド最古の蒸留所であるモートラック蒸留所に事務員として入り、後に蒸留技術と経営を学び、自らも蒸留所の建設に乗り出しました。

 しかし当初は資金難であったため蒸留設備などはすべて中古品。グラントの息子たちも学業の合間に父を手伝うなどして経営を軌道に乗せて行きました。こうしたことから家族で力を合わせるということはグラント家の伝統となり、ディアジオやペルノ・リカールといった世界的コングロマリットと鎬を削るようになった現在でも、グラント一族が会社の経営をしています。

 ところでグレンフィディックを語るときに絶対に外せないのが「《シングルモルト》を初めて世界に向けて売り出した」ということです。それまではスコッチといえばブレンデッドが当たり前でした。したがって同業者からは「無謀な行為」とバカにされていたのですが、蓋を開けてみれば大成功。以来グレンフィディックはシングルモルト世界出荷数No.1の座を守り続けています・・・と言いたいところですが、2015年にグレンリベットに追い抜かれてしまいました。しかし僅差でのことなので、これからも2018年に拡大リニューアルオープンしたマッカラン蒸留所ともども、No. 1争いが繰り広げられていくものと思われます。

 またユニークな点は他にもあり、まずは特徴的な三角柱のボトル。これは同社の主力ブレンデッドウイスキー、グランツも同様なのですが、これはウイスキーの3大要素である水・火・土を表していると言われ、また輸送時に隙間なく箱詰めできるように三角柱にしたとも言われています。ちなみに私としては3大元素に風(=大気)も含めてあげてもいいんじゃないかと思いますが…

 さらにこのグレンフィディック蒸留所は敷地内に瓶詰め施設を持っていて、仕込みから熟成、瓶詰めまでの工程を一貫して行なっています。さらに敷地内に樽の修復や製造が可能になっており、これらはスコッチでは珍しいことです。

 それぞれの施設や生産パートに熟練の職人がおり、その方々には終身雇用を約束していると言います。ディアジオやペルノ・リカールなどとは全体の経営規模では比べ物にならないくらい小さな会社ではありますが、従業員を含めた「家族」でウイスキーに関わるほぼ全てを営んでいるところがグレンフィディックの強さと魅力であるように思います。

 

参考文献