バーとお酒の入門講座

バー初心者の方を対象に、バーならではのマナーや楽しみ方、お酒に関する基本や雑学、豆知識を書いていきたいと思います。バーに興味はあるけれど、何だか最初の一歩が踏み出せない、そういう方の一助になれば幸いです。

スペイサイド ⑧ ロングモーン蒸留所

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Longmorn ロングモーン

エリア: スペイサイド エルギン地区
創設年: 1894年
所有者: ペルノ・リカール社
仕込み水: ミルビュイズの泉

 

 Longmorn、一見すると英語のようですがこれはゲール語。英語では“Place of the holyman” 「聖人の場所」という意味です。この地にはかつて修道院のチャペルがあったことから、この名前になったとされています。

 1876年にグレンロッシーを創業したジョン・ダフが二つ目の蒸留所として1894年に創業しましたが、1909年にジェームズ・R・グラントの手に渡りました。以後1970年代までこのグラント家の経営が続きますが、その中で日本人なら押さえておかなければならない事柄があります。

 日本の国産ウイスキーの父、竹鶴政孝がスコットランドで最初に修行したのが、このロングモーン蒸留所なのです。グラスゴー大学で有機化学と応用化学を学ぶ傍ら、座学だけでなく実際にウイスキー造りに携わらなければ意味がないと考え、各地の蒸留所に手紙を出したり実際に訪れて周ったりして修行の志願をしましたがなかなかうまくいかず。そうした中でこのロングモーンからの許可がおりました。竹鶴にとってはまさに救いの手だったようです。このことがなければ、日本のウイスキーは現在のように世界に誇れるものになってはいなかったかもしれません。

 その後1970年代にグレングラント、グレンリベットとの合併やシーグラムの傘下に入るなどの変遷を経て、現在はペルノ・リカール社の所有となっています。