バーとお酒の入門講座

バー初心者の方を対象に、バーならではのマナーや楽しみ方、お酒に関する基本や雑学、豆知識を書いていきたいと思います。バーに興味はあるけれど、何だか最初の一歩が踏み出せない、そういう方の一助になれば幸いです。

クラフトウイスキーについて

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さてクラフトビールに続いて今回はクラフトウイスキー

 前回にお話しした通り、クラフト(Craft)とは手工業つまり小規模生産のことですので、そのウイスキー版ということです。大規模な工場でコンピューター管理の大量生産ではなく、昔ながらの方法や、あるいは独自のこだわりの原料や製法で作られたウイスキーのことです。


 ところでウイスキーの作り方を振り返っていただきたいのですが、

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 ウイスキーの作り方は、ホップを加える工程こそないものの、途中までビールと同様です。したがって、個性的なビールを造るノウハウのある醸造所は、事業拡大の次の一手として個性的なウイスキーも造ってみようとなります。
 そこでクラフトビールブームにより誕生し、また資金を得た醸造所が蒸留設備を導入し、クラフトウイスキーを造るようになりました。この動きはもとより多くのクラフト醸造所が存在していたアメリカで盛んになりました。

 またそれ以外にも異業種からの参入も多く、アメリカンウイスキーといえばバーボン、バーボンといえばケンタッキー州だったのですが、現在ではケンタッキー以外の州での小規模蒸留所がいくつも建設され稼働しています。代表的なのはシカゴのKOVAL (コーヴァル)蒸留所。オーガニック素材のみを使用したこだわりの製品を造っています。

 そしてクラフトビールブームの火付け役となったブリュードッグもスコットランドの会社ですから、スコッチの製造に着手しています。2016年に稼働を始めたローンウルフ蒸留所がそれにあたります。

 また日本でも2008年秩父蒸留所・イチローモルトの成功を皮切りに、サントリー、ニッカ、キリン以外の信州マルス蒸留所や江井ヶ嶋酒造など非大手の蒸留所が注目を浴びるとともに、ここ数年で北海道の厚岸や静岡、福島などに蒸留所が建設されています。日本の場合はクラフトビールからの事業拡大というよりはもともと日本酒や焼酎を作っていた会社が手がける場合が多いようです(厚岸と静岡は違いますが)。

 そんな動きに乗じてまたしても某大手メーカーが「クラフトバーボン」なるシリーズとキーワードで既存の大規模生産ウイスキーを売り出していますが、あれはもともとジムビーム社のスモールバッチシリーズとして売り出されていたもので・・・ごにょごにょ 全く良くも悪くも宣伝がお家芸の会社だと思います。

 しかし、上にあげた中ではKOVALのウイスキーは製品化され日本に輸入もされていますが、他のウイスキーはまだ製品化されていません。それは何故か。

 

 ウイスキー作りの最重要課題となるのが「熟成」です。スコッチなら3年以上、アメリカンウイスキーなら(法的な縛りは緩いですが実際のところ)4年以上の熟成期間を必要としています。この熟成年数というものがウイスキーの良し悪しをわける(同じ銘柄でも熟成年数によって値段が段違いに変わったりしますよね?)といっても過言でないくらい重要なのですが、それはつまりその年数分売ることができないということです。

 蒸留・熟成の設備に莫大な初期投資を必要とするにも関わらず数年経たないと売り上げがでない。製品化するときの細かい品質やそのときの市況も不透明(鳥井信治郎竹鶴政孝がやっとの思いで造り上げた国産ウイスキー第一号「白札」がさっぱり売れなかったのは有名)。これは現代のウイスキー造りにおいても不可避の困難であるとともに、キャッシュフローの観点からするといまだ大変なリスクであると言えます。

 最初に莫大なお金を投資、蒸留所の維持費(原材料代、莫大な光熱費、人件費、借り入れ返済)でお金がどんどん出て行く、なのに蒸留したもので得られる利益は全然ない!!

さ〜これは大変です。

 では売り上げがでない期間をどう凌ぐか。現サントリー壽屋には赤玉ポートワインで得た潤沢な資金がありました(それでもだいぶ危なかったようです)。現ニッカの大日本果汁はその名の由来となったように、余市に生るリンゴのジュースをひとまず売って当面の糧としました。まあそれも本格派を目指した濃厚ジュースだったようですが・・・。

 現代では、すぐに製品化できる蒸留酒を造るようです。それがジンです。

 

という理由でひっぱりましたが、次回、ジンについてです!